腎臓１個１千万円 世界２位臓器移植大国、中国で横行する違法取引 死刑囚ドナー停止措置で不足か 医師関与「闇市場」

腎臓１個約５０万元（約１０００万円）―。世界第２の「臓器移植大国」ともいわれる中国で臓器の違法取引が絶えない。
死刑囚を臓器提供者（ドナー）とする措置を２０１５年に停止して以降、組織的な臓器売買に絡み
２０件余りの実刑判決が出ていたことが判明。医師も関与していた。慢性的なドナー不足で闇市場が横行する。

「中国の年間の臓器提供・移植数はアジア首位、世界第２位」。
中国メディアは移植事業の発展ぶりを強調し「多くの患者を幸せにしている」と誇る。
中国は臓器移植希望者の国際的な受け皿にもなっており、日本の海外渡航移植患者に対する昨年の調査によると、
渡航先として中国は米国に次いで多かった。

ただ国際人権団体からは臓器提供の過程の不透明さが指摘されてきた。中国の判例サイト「中国判決書網」で１６年以降、
闇市場での組織的な臓器売買の罪で実刑判決を受けたケースが２０件以上確認された。医師が生体移植に関わるケースも複数あった。

２１年２月公表の判決文によると、臓器の違法取引のグループは１９年に山東省臨沂市の民家で腎臓移植手術を行い
患者から６５万元を受け取った。ドナーは数日後に腹部の感染で病院に搬送され、脾臓を摘出する手術を受けることになった。
北京の医療関係者は「臓器提供者と患者をつなぐ仲介業者が医師に近づくリスクは常にある」と明かす。

中国では長らくドナーの大半を死刑囚に頼ってきたが、国際的な批判も強く１５年に摘出を禁じた。
そのため臓器不足が深刻化したとされ、移植を待つ患者は毎年約３０万人に上るが、手術が施されるのは２万人余りに過ぎない。
有識者は「臓器移植の需要に供給が追い付かず、闇市場が生まれている」と分析する。

中国政府は今年５月に臓器移植関連の改正条例を施行し、違法行為への取り締まりを徹底するなど管理を強化する方針を示している。

【中国の臓器提供・移植】中国メディアによると、年間の臓器提供・移植数は２０１６年以来、７年連続でアジア首位、
世界第２位となった。臓器提供の意思のある登録者は累計６６５万人超。
一方、国際的な臓器提供・移植のデータを収集する「ＩＲＯＤａＴ」などによると、
２２年の人口１００万人当たりの心停止を含む提供者数は、中国で３．９だった。
日本の０．８８より多いが、韓国の７．８８より少ない。
スペインは約４６、米国約４５、フランス約２６で、米欧に比べると開きがある。（共同）

2024.3/29 15:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20240329-VVATNBJFWBKOZKVG6TDJ6RH7IM/