【厚労省の乱】法務省「福祉と定期協議を」 薬物の再犯防止で報告　一方で厚労省は政府の基本計画「拘禁刑に代わる薬物対策」に逆行

https://news.yahoo.co.jp/articles/50f5c67e1b3cb010020d365ee75439251a706a88
　法務省は5月20日、薬物事犯者の再犯防止策検討会の中間報告を公表した。
薬物事犯により起訴猶予となった人へのアセスメントが不十分なため、適切な福祉機関につながりにくい現状があるとし、
今後は地域ごとに司法と福祉の関係機関が定期協議する体制を整える方針だ。

薬物依存症者に拘禁刑を科すのではなく、福祉の視点から回復を支える海外の取り組みを参考に、新たな薬物対策の試行も検討するとした。
「新たな薬物対策」の具体例は不明。最終報告は2022年3月末にまとめる。

検討会は19年2月に設置。
16年12月施行の再犯防止推進法に基づく政府の基本計画が列挙された検討課題に取り組むため、法務省、厚生労働省の課長級職員が非公開で議論した。
その伏線となったのが、法務省保護局、矯正局、厚労省障害保健福祉部の部局長が15年11月に連名で出したガイドラインだ。
薬物依存のある刑務所出所者らへの支援策を保護観察所や自治体の福祉部局宛てに送付した。

薬物依存症者の回復支援は障害福祉の領域でもあることを強調したが、制度的な裏づけが弱いと指摘されていた。
それを改善するよう政府の基本計画が両省に宿題を課し、検討会設置に至った。
「拘禁刑に代わる薬物対策」はその宿題の一つだが、厚労省は今年1月、大麻の使用罪創設をめぐる有識者検討会を発足。
宿題に逆行するかのような使用罪創設が一定の支持を得ているが、反対意見も根強い。検討会の結論は6月にも出る。

■刑罰よりも福祉を　SOS出せる社会に
こうした動きを受け、依存症関連団体が2日、使用罪創設に反対の会見を開いた。

「私は医療と福祉に救われた。もしも刑罰を受けていたら生きるのを諦めていた」。
薬物依存症から回復した風間暁さんはこう話す。
幼少期に親から虐待を受け、非行グループが唯一の居場所だった。
薬物の過剰摂取で倒れて病院に搬送され、紹介された自助グループにつながって今に至るという。

薬物に手を出す手前にいる人が生きづらさを吐き出せる場を――。
丸山泰弘・立正大教授（犯罪学）は、風間さんのこうした主張に同調。
大麻使用罪については「非犯罪化を進める世界の潮流に逆行する」とし、困った時にSOSを出すことを含めた予防教育の重要性を訴えた。

大麻依存症対策に刑罰は無意味

矛盾か