【日弁連が冤罪を訴え続けた事件】名張毒ぶどう酒、再審認めず

三重県名張市で１９６１年、女性５人が死亡した名張毒ぶどう酒事件の第１０次再審請求異議審で、名古屋高裁（鹿野伸二裁判長）は３日、元死刑囚側が申し立てた異議を棄却し、再審開始を認めない決定を出した。＜下へ続く＞

殺人罪などで死刑が確定した奥西勝・元死刑囚は２０１５年に８９歳で病死した。その後、妹の岡美代子さん（９２）が第１０次請求をしたが、同高裁が１７年に棄却したため異議を申し立てていた。

　弁護団は第１０次請求審で、ぶどう酒瓶の封かん紙から、製造時とは異なるのりの成分が検出されたとする鑑定結果を提出。「真犯人が毒を入れてから封かん紙を貼り直した」などと主張した。
　しかし、同高裁は、この鑑定のデータについて「異なるのりの成分を検出したとは考え難い」などと退けた。弁護団は異議審で、方法を改善し、より明確に検出したと訴えていた。
　弁護団は、鑑定した大学教授の証人尋問などを求めたが、行われなかった。検察側は「他の物質を検出した可能性がある」などと反論していた。
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