盛岡市課長3人を背任容疑で書類送検へ　生活保護費の不適切な支給

生活保護費を盛岡市から不正受給したとして詐欺罪で夫婦が起訴された事件で、岩手県警は週明けにも、支給に関わった市の課長3人について、任務に反して夫婦らの世帯へ不適切な保護費の支給を続け、市に損害を与えたとして背任容疑で書類送検する方針を固めた。

　送検されるのは、夫婦が詐欺罪に問われている2018年から昨年までの支給に関わった市保健福祉部の課長3人。捜査関係者によると、本来のルールとは異なる運用で保護費を支給し、市に約1400万円の損害を与えた疑いがある。夫の高圧的な要求から免れる意図があったとみられる。

　市によると、夫婦世帯は13年から市の生活保護受給を開始。アパートを強制退去となった翌年以降、ホテル暮らしを始めたが、市は「高齢の父親がいて緊急性が高い」と判断し、一時扶助としてホテル宿泊代の支給を6年半続けた。

受給した夫婦を1400万円詐欺容疑で逮捕
　市は10日にあった市議会全員協議会で、過去の支給は不適切だったと謝罪。今回の問題に関して厚生労働省から、▽一時扶助はホテル代に充てられない▽基準を超える額の支給を市が判断するのは国の想定外――などと指摘されたと明らかにした。また、年2回以上実施すべき訪問調査を一度も行わず、県の指摘を避けるため、監査リストから夫婦世帯を外していたことも示された。

　夫婦は青森や秋田などのホテルに宿泊していたが、実際の宿泊代より高い金額の領収書を市に提出。住宅一時扶助費約1400万円をだまし取ったとして県警は昨年5～6月、詐欺容疑で夫婦を逮捕した。妻は同11月、盛岡地裁で懲役3年6カ月の実刑判決が出たが控訴し、夫は公判が続いている。

　市は厚労省の指摘を受け、14年から住宅一時扶助費として夫婦世帯に支給した約3100万円のうち、返還相当額を試算し、国庫負担分約1900万円を返還する方針。

朝日新聞　2022年2月12日 10時08分
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