三菱重工，国産ジェット旅客機「MRJ」の事業化決定を正式に発表

https://xtech.nikkei.com/dm/article/NEWS/20080328/149706/

三菱重工業は2008年3月28日，同社社長の佃和夫氏が本社で会見を開き，国産ジェット旅客機「MRJ（Mitsubishi Regional Jet）」の事業化を最終決定したと発表。また，MRJ事業を担う三菱航空機（本社名古屋市）を設立し，同年4月1日から同社が主体になってMRJの開発を加速し，販売活動を強化することを明らかにした。

　三菱航空機は同年4月時点で資本準備金30億円を手当てするが，事業の本格化に伴って1年以内に1000億円に増資する計画。このうち三菱重工が2/3程度を出資し，残りについてはトヨタ自動車や三菱商事，三井物産，住友商事，日本政策投資銀行などに出資の検討を要請している。本社は三菱重工の名古屋航空宇宙システム製作所内に置き，約200人の従業員でスタートする。社長にはMRJプロジェクトを統括してきた三菱重工取締役執行役員の戸田信雄氏が就任する。三菱航空機は，MRJ事業の事業責任を担い，MRJの設計，型式証明の取得・維持，営業，カスタマーサポートを展開する。試作機の製作や試験飛行，量産機の製造は三菱重工の名古屋航空宇宙システム製作所が担当する。

　MRJは，国の支援を受けながら三菱重工が開発を進めてきた座席数70～90席の小型ジェット旅客機。燃費が競合機に比べて約2割以上優れるという環境性能と経済性が最大の特徴だ。2009年に製造を開始し，2011年に初飛行，2013年に型式証明の取得と初号機納入を予定している。「開発費は1500億～1800億円。加えて量産設備への投資額は数百億円になる見通し」（三菱重工社長の佃氏）。事業化の正式発表に先立って2008年3月27日，全日本空輸（ANA）が25機（10機はオプション契約）を発注する，と発表している。