【渡邉美樹】 どんなときも「最悪だ」とは口にしない　ワタミ韓国再出店

４年ぶりに韓国のソウルを訪れ、再々出店となる「居酒屋　和民」のオープニングセレモニーに出席した。
一度目は反日バッシング、二度目はコロナで撤退となっていたが、今回は流れが明らかに良い。
若者の間で日本のビールやハイボールがブームになっており、店は大盛況だ。

尹錫悦（ユン・ソンニョル）政権になってから日本に対する空気が変わったという話は聞いていたが、
今回私も友好ムードが高まっていることを実感した。背景には台湾へのプレッシャーを強めている中国の脅威があり、
韓国も日本との関係改善に前向きなのだろう。

日本と同じく韓国もインフレだが賃金の上昇を伴っており、新卒の年収が４７０万円の外食企業も出てきている。
物価高に対して金利も適切にコントロールされており、日本だけが世界と違う事情を抱えていることをまたも痛感した。

ソウルの「和民」を運営するのは、韓国最大のフライドチキンチェーン「ｂｂ・ｑオリーブチキンカフェ」を手掛けている、ジェネシスＢＢＱだ。
日本で「ｂｂ・ｑオリーブチキンカフェ」は、ワタミが展開している。創業者である尹洪根（ユン・ホングン）会長は親友で、
いつも「私たちが日韓経済の懸け橋になろう」と話し合っている。
世界中で現在巻き起こっている問題はエネルギーや環境、食糧など、国境で区切れないものばかり。
これらの問題解決のために、政治的なイデオロギーで対立するのではなく、経営者は力を合わせて取り組む必要があるというのが、
私とユン会長の一致した見解だ。

韓国では政治家もマスコミも世論ウケを狙って反日をあおる傾向があった。
私が参議院外交防衛委員長だったときに韓国からの国会議員団と面談したときは、翌日の中央日報（日本語版）が、
「『合わせて２０選』韓国議員５人を日本は初当選議員１人が相手『このような冷遇初めて』」との見出しで報じた。
全くナンセンスな切り口で報じる韓国メディアの姿勢が残念でならなかった。

韓国出身のアーティストや韓流ドラマが人気を集めるなど文化的な交流はすでに盛んだが、
経済的な結びつきも今後ますます重要になっていくに違いない。

実はソウルに旅立つ前、私が理事長を務めている郁文館高校の野球部を激励中、硬球が顔面に直撃するアクシデントに見舞われた。
緊急で大学病院に駆け込んでＣＴ検査を受けた。

ただ私は、どんなときも「最悪だ」とか「ついていない」ということは口にしない。
医師からは、もしあと数センチずれていたら失明か、あるいは鼻が複雑骨折していたと言われた。
そう考えれば「私は本当に運がいい」。青あざをサングラスで隠していたが、驚異的に回復中だ。

本来、地球に国境という線はない。世界や未来を俯瞰して見る、〝目〟を大切にしていきたい。
（ワタミ代表取締役会長兼社長・渡邉美樹）

夕刊フジ　2023.7/19 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20230719-OCC4UELZQBMEHIWMFTVXQ5DS2U/

潮目がいいときだけ店を出して、悪くなったら畳むのが最善手ってだけのような気もするが。